青白く輝く月を見たか? 詩情もしくは脳の病

森博嗣Wシリーズ6作目「青白く輝く月を見たか?」
第1章 赤い光 第2章 青い光 第3章 白い光 第4章 黒い光
と、題名にも章のタイトルにも「色」が戻ってきた。

しかも4色。
Vシリーズ第10作目「赤緑黒白」や四季シリーズを連想させる色遣いで、
予想通りマガタ・シキの影が色濃くなっている。

ここで主人公ハギリ博士はAI と友情をはぐくむ。
小説ではAI が高度な知性を持つことに肯定的好意的。
これはAI の発達に肯定的好意的なロボット工学者石黒浩(前記事:漱石アンドロイドとWシリーズと電気羊をめぐる冒険の夢)と似ていて、
AI の危険性を警告している物理学者スティーヴン・ホーキングとは真逆の立場。

またAI がひとつの人格に複数の躰を持ったり
マガタ・シキがひとつの躰に複数の人格を持っていたり
躰(ボディ)と人格のシミュレーションにもなっている。
AI にも人間性を認めるというのは 生きていると認識するというのは、
動的平衡を提唱する生物学者福岡伸一とは真逆の考え。

小説の引用がアーサー・C・クラーク「幼年期の終り」というのも意味深。
人類はAI に飼われる家畜になるのだろうか。
Gシリーズ第9作目「キウイγは時計仕掛け」でも
SNSは人の家畜化、家畜の餌は 絆(絆は牛をつないでおく網)、
そもそもネット(網)が人を縛りつけておく装置と唱えている。
人類は元来自ら家畜になりたがる生き物なのかもしれない。
ユヴァル・ノア・ハラリ「サピエンス全史」でも農耕が始まって人類はすすんで奴隷になったのだし(前記事:糖質からの独立)。


Facebookが「北極圏の近く」にデータセンターをつくった理由とは── “生命体”のような巨大施設に潜入:WIRED
https://wired.jp/2017/08/12/northpole-facebook-data-center/



世界最大のSNS Facebookのデータセンターが北極圏って、「青白く輝く月を見たか?」のAI がいる場所と不思議な一致。


終わりの始まり…? 独自言語で話しはじめた人工知能、Facebookが強制終了させる:GIZMODO
http://www.gizmodo.jp/2017/08/facebook-ai-sf.html


シリコンバレーが警告するAIの恐怖、その本質を「メッセージ」原作者が分析:BuzzFeedNEWS
https://www.buzzfeed.com/jp/tedchiang/the-real-danger-to-civilization-isnt-ai-its-runaway-1?utm_term=.htE77VYJjv&ref=mobile_share#.ma4LLV50yY



映画「メッセージ」の原作テッド・チャンは、AI の恐怖よりもむしろ資本主義の主導権を握る巨大企業の活動に注意を促す。

『洞察は(中略)AIが有しない能力であり、悲観論者が語る同様のシナリオで人類を滅亡させるほかのあらゆるAIにも欠けている。(中略)私は思い至った。我々はとっくに、完全に洞察の欠如したマシンに囲まれているではないかと。そして、そうしたマシンを単に企業と呼んでいるのだ』

『友好的なAIの作り方という問いかけは、業界規制の問題を検討するよりはるかに楽しい。これは、ゾンビによる終末を迎える際に何をするか想像することが、地球温暖化の対応策を考えるより楽しいのと同じことだ』

『超高度AIの恐怖をあおる行為は、GoogleやFacebookといった巨大な技術系企業が周到に計画した策略であり、ユーザーのデータを広告主に販売するという実際の活動から注意を逸らすことが目的、と言いたくなる』

『シリコンバレーの資本主義者たちは、資本主義の終焉など考えたくないだろう。予想外なのは、資本主義者の想定する世界の終わりが、超高度AIの姿をして、抑制のきかない資本主義という形でもたらされることだ』

洞察能力を備えポスト資本主義を模索する時代なのかもしれない。





地球幼年期の終わり【新版】 (創元SF文庫)
東京創元社
アーサー・C・クラーク

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 地球幼年期の終わり【新版】 (創元SF文庫) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル



キウイγは時計仕掛け KIWI γ IN CLOCKWORK (講談社文庫)
講談社
2016-11-15
森 博嗣

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by キウイγは時計仕掛け KIWI γ IN CLOCKWORK (講談社文庫) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル





にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック