森博嗣「刀之津診療所の怪」 S&Mシリーズ、Vシリーズ、Gシリーズの登場人物が一堂に会する賑やかな短編。 軽快なサイドストーリーにみえて実は一連のシリーズに重要なストーリー。 短編集『どちらかが魔女』には 「刀之津診療所の怪」(短編集『 レタス・フライ』収録)と一緒に 「ぶるぶる人形にうってつけの夜」(短編集『今夜はパラシュート博物館へ』収録)も収録されていて超お得。 なぜなら「刀之津診療所の怪」と「ぶるぶる人形にうってつけの夜」はとっても関係があるから。 そして『どちらかが魔女』の短編集の順番がまたミスリードを誘う構成で本自体がミステリ。 「ぶるぶる人形にうってつけの夜」で、ロベルトとあだ名をつけられるピンクハウス系武道家小鳥遊練無は、Vシリーズでも特に大好きな登場人物。 なのでこうやって短編集で会えると嬉しい。 練無は「ぶるぶる人形にうってつけの夜」の他に「気さくなお人形、19歳」(短編集『地球儀のスライス』収録)に出ていて、人形がとおってもよく似合う。 で、練無が、ジョアンナとあだ名をつけられる香具山紫子と身内になっていることが「刀之津診療所の怪」で明らかに。 練無はテロリスト藤井苑子(纐纈苑子)にそっくりで、 紫子は私立探偵 赤柳初朗に変装していて、 女装男子と男装女子のカップル。 ラストの「フランソワ」の言葉に温かいお茶を淹れてもらったようでホンワカして、 いい話だなあ。 再びインタヴューに答える森都馬:森博嗣の浮遊工作室 ミステリィ制作部 http://www001.upp.so-net.ne.jp/mori/myst/intv/intv00.html インタヴューの中で理想とする職場の質問に 島に模型飛行機を飛ばす広い場所があるとパーフェクトとあって、 まさに「刀之津診療所の怪」の白刀島はパーフェクト。 紫子はグライダ(模型飛行機)を飛ばしていて作家そのまんま。 S&Mシリーズ10作目「有限と微小のパン」の なぞなぞ についての質問では 『西之園萌絵』の名前を決めたときに既に使えるな、とは思ったとあって、 ひらがなの『にしのそのもえ』を回文に利用している。 で、 ローマ字の『NISINOSONO』は全てが点対称。 「ぶるぶる人形にうってつけの夜」の建物の配置図がMOEで、 「刀之津診療所の怪」ではアルファベットの非対称の文字を使った暗号で、 作家は『西之園萌絵』にひらがなだけでなくローマ字も使えると前から思っていたんじゃないかな。 すごいなあ。 アルファベットの非対称の文字が鍵なら、 Gシリーズでは苗字のGだけが非対称の香具山(KAGUYAMA)紫子がとても怪しい。 職業もミステリにつきものの私立探偵だし。 あっ、 真賀田四季(MAGATASIKI)も、Gだけが非対称。 ![]() にほんブログ村 |
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